プライシングという言葉を知って、意味を理解したうえで生活に当てはめれば、人生が大きく変わる可能性があります。
そんなことを聞いたら、プライシングについて理解しないわけにはいきませんよね!
1.辞書の定義などどうでもいい!プライシングの意味とは
最初にプライシングの意味を確認しておきましょう。
1-1.辞書の定義
辞書を調べてみると、プライシングは「値決め」「価格設定」などを意味する表現と説明されています。
語源を調べてみると、価格や値段を意味する英語の名詞「 price (プライス)」と関係があります。このpriceという単語が動詞化すると「値段をつける」という意味になり、priceにingをつけて名詞化するとpricing(プライシング)になり、「値決め」や「価格設定」を意味するというわけです。
プライシングがビジネスの世界で用いられるときには、もう少し複雑になります。
プライシングは、製品やサービスの価格(取引値段)を設定することをいいます。これは、マーケティングミックス(Product、Price、Place、Promotion)の一つで、簡単に言えば「値決め」であり、売上の最大化や目標利益率の達成、価格の安定化、市場シェアの維持・拡大、顧客の需要、競合企業への対応などを考慮して行われます。
出典:ifinance
ただ、今回の目的は“定義を知る”ことではありません。
1-2.私たちの生活に影響するプライシング能力とは
言葉の定義がわかれば、自分の人生が変わるわけではありません。
私自身がプライシングに興味を持ったのは、社会派ブロガーとして活躍しているちきりんさんがきっかけでした。
「もしかして、プライシング能力に乏しい人って、いろいろな面で損している?」と感じて、それからというもの、必死にいろいろ調べたわけです。
いろいろ調べた結果、物事はかなり単純であることに気づきました。つまり、個人にとってのプライシングとは、「価値や価格に対する自分自身の基準を持って、モノやコトを測ること」であり、磨くべきなのはその能力です。
プライシング能力を磨けば、自分も自分を取り巻く世界も変えることができます。
2.プライシング能力を磨けば、世界がこんなに変わる
プライシング能力を身につけることで、何がどのように変わるのでしょうか?
これがすべてではありませんが、5つだけ見てみましょう。
2-1.マーケット感覚が身につく
プライシングを習慣にすることで、マーケット感覚が身につきます。
普通に値段がついているもの、ついていないものについて自分で値付けをしてみると、次第にマーケティングに意識が向いていきます。いままで当たり前のように受け入れていた価格も、「なぜこの価格になっているのだろう?」「私ならこれに対して〇〇円をつけるな」など、頭で考えるようになります。
そうすると、やがて市場でいろいろなモノやサービスが取引されているリアルな様子を想像できるようになっていきます。これこそがマーケット感覚です。
このマーケット感覚が身につくと、人に押し付けられた価値ではなく、自分で物事の価値を判断できます。いま需要がある価値は何なのか、みんながまだ気づいていない価値に気づいたり、これから価値が出そうなものを見極めたりできるようになります。
たとえば、みんなが「ドコモの携帯電話料金が高い・・・」と言っているとします。そんなとき、「みんなが言っているから高い」と思うのではなく、「本当に高いかどうか」「自分にとってどんな価値があるか」考えてみることができます。その結果、人と同じ決定ではなく自分で納得した答えを出すことができます。

2-2.仕事に生かせる
プライシング能力は、ビシネスの現場で重宝します。
履歴書に書ける資格ではありませんが、価値を見極めることができる人は、ビジネスの現場で新規プロジェクトを立ち上げたり他社との競争に打ち勝ったりして実績を上げて、社内での評価が高まっていくことでしょう。転職によってキャリアアップすることもできれば、ヘッドハンティングされることもあります。
プライシング能力を駆使している間に魅力的な市場に気づき、自ら起業して成功するビジネスパーソンも少なくありません。
プライシング能力はたしかに仕事に生かせます。
2-3.浪費しなくなる
プライシングすることで浪費を防げます。
年間通して、いろいろなセールに顔を出したり、値引き品を好んで買っている人は「自分は買い物上手だ」と思っているかもしれませんが、じつは“カモ”られている可能性があります。
本当は買うつもりがなかった服も、「今日限り5割引き!」と書いてあると、まるでその服を買うことにしていて、定価の半額で買えてラッキー!という錯覚に陥って購入してしまいます。でもよく考えてみると、もともと必要ではなかったものにお金を出すのは浪費ではないでしょうか?そもそもあなたにとってその服はどれくらい価値があるものですか?という話です。
似たようなことですが、たとえばあるモノを3個買おうと思って出かけていったとき、「5個買うと〇〇円になります!」と書いてあることがあります。プライシング能力に乏しいと、迷わず5個買います。そして、「いい日に買い物に行った」と満足します。もちろん本人が満足しているならそれでいいのですが……まとめ買いをしても、結局消費期限が近づいてあわてて使ったり、家のスペースを取ってしまったりと、無駄になることが多いのです。
自分の中でブレないしっかりとした価値基準があれば、外からの余計な情報に惑わされて浪費することが少なくなるはずです。
2-4.“うまい話”に惑わされなくなる
プライシングできる人は、うまい話に簡単に乗って騙されることはありません。
うまい話の中には、本当にうまい話とうまくない話があります。プライシング能力の意味は、それを見分けられるところにあります。
不動産投資の話や何かのビジネスの誘いでも、マーケット感覚がしっかりしていれば冷静になって「なぜこのビジネスは儲かると言えるのだろう」「お金はどこからどのように流れて、どうなるから〇〇くらいの利益が出ると言えるのか」など分析することができます。
もちろんビジネスや投資には不確実な要素はつきものですが、そもそも根拠や実体のない“儲けのカラクリ”にまんまと騙されてしまうことはなくなることでしょう。
2-5.これまで意識しなかったさまざまな価値に気づき、価値を探したくなる
プライシングによってマーケット感覚が身について、これまで意識していなかったさまざまな価値を見極め、また気づけるようになります。
それだけではなく、自分から積極的に価値を探したくなっていきます。単にプライシングしたくなるだけではなく、いろいろな物事に積極的になっていきます。全体的にアクティブで快活な人になっていきます。その価値はプライスレスです。
3.プライシング能力を磨くための方法は?
残念ながら、日本の義務教育を受けるだけではプライシング能力は身についていきません。主体的に磨いていく必要があります。
では、どうすれば意味あるプライシング能力を磨くことができるのでしょうか?
方法は3つです。どれも簡単です。
- 本を読む
- 街に出る
- 自分の頭で考える
順番に見ていきましょう。
3-1.本を読もう
まず、プライシングの意味も含めて、関係している知識をしっかりと頭に叩き込みましょう。そのために最適なのは読書です。
プライシングを扱った書籍はそれほど多くありませんが、ここでは良書を3冊紹介します。
3-1-1.マーケット感覚を身につけよう—「これから何が売れるのか?」わかる人になる5つの方法
- 著者:ちきりん
- 出版社:ダイヤモンド社
- 価格:本体1,500円+税
- 出版年月:2015年2月
まずはこれ!絶対これです!日本に存在する、マーケット感覚を勉強できる唯一の教科書といっても過言ではありません。
マーケット感覚を身につけるための1つの方法としてプライシングが紹介されています。あとは、読んでからのお楽しみです!
私は5回は読み返しましたが、その都度新たな気づきがありますし、前回読んでからの自分の成長を感じることができて嬉しくなります。
3-2.街に出よう
いくら書籍を読んで知識武装しても、机上の空論では意味がありません。街に出かけましょう!
目的なんて意識しなくてもい、目的地なんて意識しなくても、「とにかく今日は1日、お外でプライシングするんだ!」なんて日を設けてもおもしろいかもしれませんね。
3-3.いろいろ考える時間を取ろう
本を読んで街に出たら、それで終わりではありません。見聞きした事柄をじっくり思い巡らす時間を取りましょう。
プライシングについていろいろ考えているうちに、自分の血となり肉となっていきます。また、いろいろ考えていて、ふとトイレに行ったときやお風呂に入っているときに「ポッ」とアイデアが生まれるかもしれません。
いまはスマホやタブレットが手元にあって、暇にはならないけれど、物事を深く考えるのが難しい時代になっています。だからこそあえてじっくり思い巡らす時間を取り分けることで、一歩前進することができるのです。
まとめ
今回はプライシングの意味と、その能力を磨くことにスポットを当ててきました。さっそく実践してみたい、自分の生活や仕事に取り入れてみたいと思ったのではないでしょうか。
私は家計を上手に管理できているのだろうか?もっと上手に買い物できるかも?など、わたしたちが抱える悩みはさまざまです。しかし、どんな悩みにも共通して役立つのが、今回取り上げたプライシングの考え方です。
この記事をきっかけとして、人として価値のある生き方をし、ビジネスの世界でも一流の人間として歩み、プライベートでも上手に値決めができるようになることを願っています。